農業生物資源研究所ルポ
以前のブログに少し書きましたが、
去年の夏、前田雨城先生の所に集う方々数人と
農業生物資源研究所へお話をうかがいにいく機会がありました。
まず、展示コーナーを見学。

入り口に、びっくりするものが展示してあります。
江戸時代の毎年の繭の標本です。
よく残っているものです。
写真をよく見ていただくと、白くない繭の年もあります。
この白くない繭は、黄色系の繭です。
日本の絹糸は白。と思っている人も多いと思うのですが、
それはごく最近の傾向の様で、
周期的に、黄色い繭が流行ったり
白い繭が流行ったりして来たそうです。
着色繭は、基本的にセリシンに色素がついているのだそうです。
その色素は、カロチノイド、フラボノイド、そのほか紫色素
などがあります。

写真の右の繭はカロチノイドの発色です。
カロチノイドの繭はオレンジ系の黄色になります。
ピンクになっているものもありますが、総じて退色しやすい。
たいして、
フラボノイド系の色素は、蛍光を持っており、
可視光では色素が多ければ多いほど、白っぽく見えますが、
ブラックライトで紫外線をあってやると、
白っぽいものほど強く黄色く光ります!
これは、今話題の遺伝子組換えカイコによるものではなく、
在来品種のものなのです。
写真の真ん中の繭は
笹繭と言われている、日本の黄緑色の繭です。
これは、このフラボノイドの色素以外に紫色の色素が含まれるため
少々濁った色合いの繭になっているようです。
下の写真は、インド原産のカイコの繭です。
こちらは完全にフラボノイドだけの色素で
紫外線によって非常に強く蛍光を出します。

この繭から出来た糸は、糸質としては軽く細く、
独特のシャリ感があるとか。
現在何十種類かの原種が、資源研究所で、保存飼育されています。

この原種を掛け合わせ、
用途に応じた繭を作り出しているということでした。
(ちなみに、カイコの原種は非常にデリケートなため
原種では一般農家での養蚕は出来ないということです)
色だけでなく、糸質もデザインできるんです。
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現在、養蚕は、時給150円の仕事なのだそうです。
ですから、日本の養蚕は壊滅状態で、
95パーセント以上が輸入繭となっています。
数年で、日本の養蚕がほぼ無くなるとも言われています。
しかし、中国も産業構造が変わりつつあり、
養蚕の技術が衰え始めているとか、
ブラジルでは、日本人と、日系人による養蚕がありますが
これは、ブラジル政府の国力が関与していない訳で
日本が技術的にバックアップしないとならない状況だが、
日本の養蚕がだめになれば、援助、協力できなくなってしまうとか、
養蚕を巡る課題は、山積しているとのお話を伺いました。
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この状況を、産業で支える道は今のところ難しく
美術工芸の世界で繭を利用していくという形で、
なんとか、養蚕と、品種を維持できないかというのが
今のところの課題だそうです。
原種の掛け合わせからすべてオーダーの
高品質な糸作りが、日本の絹糸の中心となっていく予感です。